【全33本】2025年5月ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンだったアレコレ

2025年5月に私が出会った、DEIに関係するニュース、映画、本、イベントなどについて日付ごとにまとめています。
草冠結太 2025.06.01
誰でも

5月1日(木)「ケアしあうミュージアム ~盲ろう者と学生によるまち歩きの取り組み~」サイト

すごいプロジェクトを知ってしまった。滋賀県にあるボーダレス・アートミュージアムNO-MAが中心となって推進している、視覚と聴覚の両方に障害がある方(盲ろう者)と学生によるまち歩きの取り組み。このサイトを見て、ただ街を歩くというだけの日常の解像度が上がった気がする。正直、視覚と聴覚の両方に障害があることを「自分だったら」と想像すると、怖くなることがあった。でもそれは偏見と先入観だと知った。もちろん、不自由や危険はあるのだけれど、そればかりではない。裸眼では計測不能なほどの視力しかなく、しかも難聴の私にとって、「見る」と「聴く」の概念が広がり、「伝える」「共有する」ことの可能性を感じるプロジェクトだよこれは。

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5月2日(金)長崎新聞「「1人じゃない」を伝えたい…五島でスナック営む「ばびちゃん」 LGBTをオープンに発信 長崎」

素敵な記事だった。自らのSOGIEをオープンにして発信することで、どれだけ救いになる人が増えるか。ばびちゃんの気概と行動力がすごい。もう一つすごいのは、ばびちゃんはお酒飲めないのにスナックやってるところ。写真で持ってるグラスも、中身はお水。チャーミングだわ。

5月2日(金)映画「デコチン」

とんでもない映画だった。よく映像化しようと思ったな。観る人をかなり選ぶ。私と友人は面白く観た。鑑賞後の酒も進んだ。中島らもは徹頭徹尾、生きづらさを抱えていたり、社会的逆境にいる人の側に立ち続け、肯定した作家だった。私はDEIの先駆けだと思ってる。彼が亡くなる直前に書き上げた最期の短編小説がこれだったというのは象徴的。そして彼はB級映画をこよなく愛した。本作もB級感バッチリだった。これみて怒る人、戸惑う人もいるだろうけど、それが中島らも。そして私は中島らもが大好きだ。

デコチンの映画館ポスター。サインが書き込まれている

デコチンの映画館ポスター。サインが書き込まれている

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5月3日(土)映画「僕が跳びはねる理由」

娘と観た。自閉症当事者である東田直樹さんの著書を下敷きにして、自閉症の子どもたちやその家族を追ったドキュメンタリー。素晴らしい作品だった。自閉症について知らなかったことがたくさんあったし、私自身との共通点をかなり発見したことにも驚いた。甥と姪が自閉症なので身につまされることも多々。当事者が会話に加われば、自閉症をめぐる会話は変わる、という一言の重いこと。この映画を観て、障害の有無の境界が溶けていく感じがした。

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5月6日(火)ハフポスト「ロバート・デ・ニーロ、トランスジェンダーの娘を「愛し支えている」変わらない愛を伝える」

デ・ニーロいわく「これまで息子として愛し支えてきました。今は、エリンを娘として愛し支えています。そんな大ごとではないと思います。私は、自分の子どもたち全員を愛しています」。そんな大ごとではない、というところにシビれた。さすがデ・ニーロ。とはいえエリンさん本人にしたら一大決心なわけで。本人の決断を重く尊重しつつ、家族としておおごとではないと肩の力を抜ける。そんな軽重自在の普遍的な愛をもった大人でありたい。

5月6日(火)日本経済新聞「選挙のSNS法規制58%、改憲幅広い合意72% 共同通信世論調査」

同性婚を「認める方がよい」は64%で「認めないほうがよい」は34%という結果だったとのこと。どんな問題も多数決で決めるのは危ないし、それがマイノリティにとっての問題ごとであるならばなおさら。とはいえ6割以上が同性婚に賛成という事実は大きい。これは社会的な幸福数が増える話だから、関係のない人はいないと思ってる。当事者でなくても、関係者ではある。だからこそ思う。早く同性婚の法制化を。

5月6日(火)TBS NEWS DIG「「恋愛しないって変」と言われ…100人に1人「アロマンティック/アセクシャル」 恋愛・性的な感情抱かない人たちも「“普通”にいるんだよ」」

100人に一人もいるのか。しんどいだろうな。「男性らしい」「女性らしい」格好をしている人が、恋愛・性的な感情を抱かないということも十分にありえる。オシャレは自分のためにするものだからね。誰かの目に映るため、ばかりではないはず。そこで、不本意な好意を寄せられても、困っちゃうだろうなぁ。そもそもコミュニケーションの話題やアプローチとして、恋愛が偏重され過ぎているんじゃなかろうか。

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5月7日(水)福祉施設スウィング所属の辻井美紗さんの絵「夜になったら動こうかな」

先日行った福祉施設スウィングの個展で購入した絵が届いた。スウィングに所属している辻井美紗さんという画家さんの絵。娘と私が同時に「コレかわいい!」と、一瞬で好きになった作品だった。子ども部屋に飾ろうと思って買ったんだけど、バッチリ。一気に部屋が明るくなった。私は絵画の見方がわからない。好きか嫌いかだけ。しかも作者は誰か、どんな人か、に左右される。それが絵画鑑賞の正しいスタンスなのかはわからないけれど、この絵に出会えたので、ヨシとする。衝動買いが好きな作家さんや施設の応援につながっているとしたら、これほど嬉しいことはない。娘のリアクションも楽しみ。

黄色のキャンバスにピンクのナマケモノが描かれている。ナマケモノは緑の枝にぶら下がっている

黄色のキャンバスにピンクのナマケモノが描かれている。ナマケモノは緑の枝にぶら下がっている

5月7日(水)荻上チキSession「特集 <きょうだい児>を知っていますか?表に出にくい実態と、その支援の在り方」

障害のある方の兄弟を「きょうだい児」という。それは知っていたのだけれど、このラジオがとても勉強になった。本当にいろいろな問題があって、家族だからこそそれを自明にしてしまったり、それに苦しんだり。支援する人にも支援が必要であることは、当たり前なんだよな。「私たちきょうだい児も支援の対象なんだ」という一言が、ぐっと胸に迫るものがあった。

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5月8日(木)LGBT.jp「トランスを認めないトランプ大統領令に連邦地裁が「違憲」判決」

そりゃそうだ、としか言いようがない。もともとアメリカのパスポートではFとMとXを選択できていたのに、大統領令によってパスポート上の性別変更が凍結され、性別欄にXと記載できなくなったことが背景にある。この大統領令は間違いなく違憲だ、というのは簡単だけど、ひるがえって日本のパスポートはまだ「X」の記載がない。よその国のこと言ってられない。恥ずかしい。

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5月9日(金)短編ドキュメンタリー映画『議席番号31』無料オンライン上映【日本語字幕つき】

とっても素晴らしい作品だった。わずか15分のなかに、トランスジェンダーの苦悩と苦闘、そしてあってほしいと願わずにはいられない希望が込められている。この作品は、トランスジェンダーの共和党の支持者が多いモンタナ州で、初めてトランスジェンダーであることを公表し下院議員になったゾーイ・ゼーファー氏のドキュメンタリー。彼女はトランスジェンダーの若者をめぐる議会での発言がきっかけで、議場にすら入れない発言禁止処分を受けてしまう。それでも、今度は廊下のベンチを自分の席にして、なんとか政治活動を続けようとする。その席の名前が、議席番号31。ポストイットってところもいい。彼女、めっちゃくちゃカッコいい。

5月9日(金)荻上チキSession「【前・後編】アスリートとジェンダー。スポーツの公平性とは?(來田享子x井谷聡子x安田菜津紀)」

トランスジェンダーの方が抱えるスポーツにおける問題・課題を中心に、スポーツ界が内包する排他性を指摘する内容。つまり、男性主義、もしくは男女主義のスポーツ観をどのように方針転換して、排除のないスポーツ環境を整えるのか、という話。これはもはやトランスジェンダーの方にとどまらない、より包括的な問題。どの競技団体も手探りの中、トライアスロンの団体が先駆的という話が印象的だった。やっぱり答えは簡単には出ないし、基準も容易には作れない。でも、考えることをやめてはいけない。だってスポーツは、人類の叡智の一つだから。きっと答えは見つかるはず。

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5月10日(土)荻上チキSession「渡辺志保さんと語る〜在日外国人、もしくは海外にルーツを持つ日本のラッパーたちの紹介」

とても聞き応えのある放送だった。自分はどこから来た何者か。それを語るのがラップの基本。だから自分のルーツや、それにまつわる困難や逆境を歌うことはヒップホップの流儀にあっている。とはいえ。ラップが生まれた1970年代アメリカと通底するラップが響いてしまう日本って、どうなのよ。進歩してると言えるのかな。逆境のない人生はない。でもそれが、社会的虐待や社会的いじめであってはならない。戦うラッパーたちにbig up。

5月10日(土)第6回難民・移民フェス

今年も家族三人で行った。最高にパワフルでピースな雰囲気だった。妻と娘も満足げ。私はFUNIさんのラップLIVEに大感動した。泣きそうになったのは、きっと私だけじゃない。でもこの祭りの後、参加者の多くがまた困難の多い日常に戻ることを忘れるわけにはいかない。今回も思わずたくさん物販を買って、ご飯を食べた。それがフェスを支える何かになれば嬉しいと思った。次回も楽しみ。

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5月12日(月)映画「パドレ・プロジェクト〜父の影を追って」

U-NEXTの配信で観た。すげー感動した。日本人の母とカメルーン人の父の間に生まれた、お笑い芸人ぶらっくさむらいさん(本名武内剛)が、イタリアへ父親を探しに行くドキュメンタリー。手がかりは名前と数十年前の写真、そして父親がかつて住んでいたという住所情報のみ。協力者とともに現地に赴いた彼は、果たして父との再会を果たせるのか、というお話。ミックスルーツとしての葛藤、イタリアでの出会いと人情、想像を軽々と上回るラスト。ドキュメンタリーじゃなかったら、ウソっぽくなるくらドラマチックだった。いろんなルーツがあって、いろんな生き方がある。幸せは、その先にバッチリある。こんなに勇気づけられる映画はないよ。

5月12日(月)Tnet「トランスジェンダーへのバックラッシュに揺れるアメリカの情勢を学ぶ勉強会」

めっちゃくちゃ勉強になった。トランスジェンダーの歴史から、現在のトランスジェンダーの方々を取り巻く世界およびアメリカの状況まで、アメリカの議員さんおよびジャーナリストのお二人が詳しく解説。内容が広く深くかったことだけでなく、参加者700名という関心の高さにも驚かされた。「変化は、人間関係によって、ゆっくりもたらされる」という言葉が、最前線にいる人ならではのリアルを物語っているように感じた。こういう学びの機会があるのは本当にありがたい。

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5月13日(火)ラッパーFUNI氏によるZINE「Resurrection101」

在日コリアン2.5世のラッパーFUNI氏が制作したZINEを読んだ。すごい迫力、読み応えだった。パレスチナでの状況と、東京での人種差別を、裏表として見せる二部構成。このZINEで興味深かったのが、Xで投稿されてきたヘイトや差別的発言を掲載しているところ。ヒップホップらしいサンプリング精神といおうか、ジャーナリズムといおうか。制作者の熱いアティテュードに対して、投稿の空疎さが、対照的で印象に残った。かつて「ラップはゲットーのCNNだ」と言った米国ラッパーがいた。この本がまさにそれ。一緒の国や街に住んでるんだから、彼らの問題は自分の生活と地続きだ。だから協力できることはする。それがリアル。

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5月14日(水)生活ニュースコモンズ「自分をケアし、対話し、つながるーートランスジェンダーへのバックラッシュに揺れるアメリカ」

とても理解の深まる記事だった。先日開催されたTnetによる「トランスジェンダーへのバックラッシュに揺れるアメリカの情勢を学ぶ勉強会」の内容をまとめた記事。これまで私がもっていた知識に、さらにアップデートがかかっているということも知ることができた。私はトランスジェンダーの方々への差別に反対するけれど、同時に世界の状況は目まぐるしく変化している(2022年から25年までの4年間で反トランスの法案は史上最多の1600件生まれたなんてどうかしてる!)。そして海外の状況は、すぐに日本にも及ぶ。だから反対の根拠も最新化していかなくてはいけない。こういう学びの場は本当に貴重だし、こういった記事はサブテキストとして本当にありがたい。

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5月15日(木)フォーカス台湾「同性婚法施行からまもなく6年 43%の台湾人が「性的少数者の友人いる」」

台湾で同性婚が法制化されてから6年。世論調査では回答者の43.2%が「周囲に性的少数者の友人がいる」と答え、前年から5ポイント増。一方で同性婚や国際同性婚、同性婚カップルが子どもを共同で養子として迎えることに対する支持率はいずれも微減。調査を実施した団体の担当者は「政府による政策推進が鈍化しており、社会の理解が進んでいないことを示している」と見解を示した。いやー難しいなー。これらの調査結果が同性婚の法制化の相関はわからない。でも、法制化後も国の理解促進政策が重要だということはわかる。とはいえ、日本でも義務教育での性的マイノリティに関する教育は進んできている。結婚できる人とできない人がいるのは、児童・学童の目からみても欺瞞だろう。早く法制化を。

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5月16日(金)ePARA「「知的障がいの弟に気づかされた、ゲーム動画の投稿や配信がありがたいという話」と、そこから読み解くこれからの福祉の話」

とてもイノベーティブな記事だった。ゲーム動画がもたらす福祉的効果。マイナーゲームのプレイ動画の意義。ゲーム動画の教育的・療育的活用。一見すると「?」な見出しが並ぶのだけれど、筆者の実体験をもとに語られるその兄用は、驚きと説得力に満ちている。ゲームの福祉における可能性は語られることも多いけれど、ゲーム動画の効果についてはおそらくあまり語られてこなかったのでは。多様性に直結する、と書いてあってけれど、大いに同感。多様な生があるのだから、カルチャーコンテンツの多様な活用方法も見出されてほしい。

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5月19日(月)カンパラプレス「東京オリンピック・パラリンピックは何も残さなかったのか──パラスポーツの停滞から考える“レガシー”の今」

パラリンピックのレガシーについては、イベントに行くたびに思うところはあった。正直、人気が高まっているのはごく一部の競技の、ごく一部の人たちだけ。それが実際のとこだろう。スポーツ環境を整えることが重要というけれど、施設の多くが自治体に運営されることを考えると、競技人口が増えないと実現しなそう。そうなると、やはりスポーツ人気を高めること、観る人を増やすことから始める必要があるんじゃないかな。そういう点で、メディアの役割はすごく重要だと思う。パラスポーツのエンタメ性を高められないか。

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5月20日(火)カンパラプレス「秦由加子が2位、谷真海が3位!【ワールドトライアスロンパラシリーズ横浜大会】」

パラスポーツの面白さを知るには、トライアスロンが一番なんじゃないか、と思うことがある。バイク、スイム、ラン。それぞれに見どころがあり、障害の違い、それによるマシンや競技スタイルの違い、そして面白さがよくわかる。かつて生で観戦したことがあるけれど、マジで、人間に不可能はないんじゃないかと希望をいだきたくなった。ただねぇ、水陸両用競技だから、いかんせん中継しづらい。つまり実況もしづらい。そこが難しいんだよなぁ。。。

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5月21日(水)こここ「子ども、高齢者、障害のある人……“分けられた”暮らしをどう繋ぎ直す? ごちゃまぜの福祉施設「マ・ルート」の日常」

認定こども園と、障害者・児施設と、高齢者施設。その三つが相乗効果を生み出しながら運営されている「マ・ルート」という施設の記事。素晴らしい施設、試みだと思った。先日とあるラジオで上野千鶴子さんが言ってたんだよ。老いへの恐怖、あるいは高齢者の自己差別は、障害者差別と通じているって。私もそう思う。さらにいえば、障害者差別と子ども差別は、とても似ているよ。人間は一生のうち、そのすべてになるのにね。だからこの「マ・ルート」がやっていることは、先進的でありながらとても本質的で本来的なものなのだと思う。一度行ってみたいなー。すごく行ってみたい。

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5月22日(木)SAMANSA「アンロマンス・イン・ブルックリン」

レズビアンを自認しつつも、実はアロマンスかもしれない主人公の物語。必ずしもSOGIに意識的でなさそうな彼女を取り巻く人間関係のほどんとが、恋愛を中心にまわってるというのがシンドイ。恋愛偏重社会での生きづらさが、オフビートな笑いで重くなり過ぎずに描いている。恋をしていないと、行くあてがなくなる社会って、ちょっと異様かもね。たった15分の作品で、大きな起伏もなく、地味な映画だったけれけど、かなり味わいが長続きする作品だったよ。それでも一杯つきあってくれる友達のありがたさよ。友達との話って、つまらないほど楽しいよね。

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5月23日(金)SAMANSA「ばあちゃんラップを聞いてくれ」

アフリカン・アメリカンの青年が、意識不明のおばあちゃんをラップで引き戻そうとする話。笑えて泣けて、ものすごく面白かった。ストーリーとしてはオーソドックスな展開なのだけれど、これほど観ていられる・聴いていられるいのは、やっぱりライミングの心地よさや徐々にリズムがテンポアップしてい気持ちよさが計算されているからなんだろう。たった8分されど8分。

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5月24日(土)Spotlite「視覚障害者のスポーツ「ブラインドマラソン」とは?ルールや伴走についても解説」

毎朝ウォーキングしていると、聴覚障害者の方のランナーは見かける。ゼッケンつけてたり、補聴器つけてたりするから分かる。でも視覚障害者の方のランナーは見たことがない。それを「そりゃそうだ」「当たり前じゃん」で片付けてはダメな気がする。いちばん生活に密着した運動である「毎日歩く・走る」を気軽に楽しめないとしたら、それは明らかに社会環境のほうに問題がある。点字ブロックを応用して、バリアフリー・ランニングコースとか作れないものか。パラスポーツは認知度も規模も大きくなった気がするけど、一般人のスポーツ環境も重要だと思うんだよな。

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5月25日(日)パラスポプラス「パラ卓球、クラス分けなしの日本一決定戦、車いす男子は中本が3度目V、立位女子は初出場・樋浦が優勝!」

パラ卓球にクラス分けなし”無差別級”の大会があるの、知らなかった。すげー面白そう。パラスポーツは細かいクラス分けによって競技の公平性と面白さを担保しているし、それが奥深さでもあるのだけれど、こうやって「つべこべ言ってねぇで誰が一番強いか決めようぜ!」的な大会も、マンガ的で面白いに決まってる。選手の多様性が戦法の多様性だから、それが個性として際立ってきて、ダイナミズムにつながっていく。77歳の選手が11連覇・通算15度目の優勝というのも、この大会の面白さを物語ってる。絶対勝てない達人キャラ、いるよね。

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5月26日(月)「第3回刑務所アート展」

刑務所アート展に行ってきた。今回も見応えがあって、とても考えさせられる展示だった。とくに「手紙」の企画と「刑務所の中からのお願い」の企画。平日の昼間だというのに、じっと読み込んでいる人もいた。罪や回復って、私たちが思っているほど定型的なものではないし、遠い世界のものでもない。被害者が加害者にならざるを得なかったということはたくさんあるし、被害者を出さないためには加害者を生まないことが重要。だからこそ社会的な無知や誤解が、これから立ちあがろうとする人を踏み潰してしまうことは避けないといけない。展示を見ながら、そんなことを思ってた。

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5月27日(火)Spotlite「「見えなくてもボウリングはできる」全盲の男性が視覚障害者ボウリングで日本代表になるまで」

つい先日、娘とボーリングしにいった時。「目の見えない人もボーリングできるの?」と聞かれて。「いやーきいたことないな」と答えたのだけれど、この記事。パラボウリングというものがあることを、初めて知った。すごい世界があるんだな。ガイドレールを使えば、見える人と互角に渡り合えるとのこと。ボーリング場ってシニアの方もかなりたくさんいるから、ガイドレールは喜ばれることもあるんじゃないか。普及するといいな。

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5月28日(水)CHANT WEB「「視聴者はフラットに見てくれるのに」盲目の芸人・濱田祐太郎 R-1で優勝しても拭えぬ不安」

めちゃくちゃ勉強になる記事だった。とくに二本目。障害と笑いの関係。差別とは。メディアにおける障害者の器用について。などなど。とくにオーディションで差別をうけた、というエピソードはとても考えさせられた。記事だけでは分かりきれない部分もあったのだけれど、強制的であったり、思い込みであったり、無対話であったりすることは、差別の第一歩だと感じた。そしてそこには、環境を用意する側にある「面倒くさい」「なんでそこまでやらないといけないんだ」という怠慢や卑怯が潜在している気がする。「面倒くさい」は人生と社会の大敵だよ。

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5月29日(木)アフター6ジャンクション2「石井健介さん「"映画の音声ガイド"最新事情特集」」

非常に勉強になる回だった。音声ガイドのついた映画は、これまでいくつか鑑賞したことがあった。でも「音声ガイド」という呼称そのものが「音声描写」に見直されていたり、アプリも進化しているのは知らなかった。カルチャーコンテンツだからこそ、情報保障の先進事例として浸透しやすいはず。というか、そういうものであってほしいと思ったよ。

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5月30日(金)ePARA「バリアフリーeスポーツスクール体験-Café&Bar RAGE STで学んだ共生社会への可能性」

ゲームは遊び。それも参入障壁を取り除きやすい遊び。その遊びから相互理解が進むなんて、本当に素晴らしいことだし、希望を感じる。何より、現実性を感じるんだ。この回はパラeスポーツプレイヤーが講師となり、初心者・初級者を対象としてゲーム体験企画・コーチングを行うものだったみたいだけれど、一度現場で見てみたいな。それと会場になった「eスポーツカフェ Café&Bar RAGE ST」にも行ってみたい。たぶん子どもが喜ぶ。それもまた刺激的な体験になりそう。

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