「編み物の街」はどこにある

「編み物の街」はどこにある
草冠結太 2026.02.25
誰でも

古本といえば神保町。料理道具なら合羽橋。アニメは秋葉原。他にも楽器や古着など、専門店街ってありますよね。

でも「編み物の街」って聞いたことがない。
検索したところ、どうやら東京のJR山手線にある日暮里が、繊維街と呼ばれているらしい。毛糸も繊維だし、いっちょ覗いてみるか!ということで先日行ってみました。

あ。先に結論を。
から振りでした・・・。万歩計アプリで17,855歩のムダ足。「編み物の街」は、蜃気楼より遠かった。

こちらがJR日暮里駅。繊維街に最寄りの南口は意外とこじんまり。背後の尖塔は屋根のデザインの一部。とくに機能はないそうです。ないんかい。

山手線ならではの都心感と、下町情緒がないまぜになった雰囲気。どこかで何かを焼く香ばしい匂いがしていました。

歩いていて、とても住みやすそうな印象。
とくに山手線沿いはいま高輪ゲートウェイをはじめ、いろいろなところで再開発が進んでいるので、こういう生活感のある街はホッとします。電線の多さも懐かしく思えてくるから不思議。

街の至る所で繊維街推し。この時点では「繊維街。ただし編み物以外」なんて知る由もありません。

タウンマップは英語verと日本語ver。確かに外国の方も多く歩いていました。
メインストリートは片道徒歩15分ほど。その両サイドに生地や裁縫道具、素材のお店が並んでいます。

マップでは賑わっている印象をうけたものの、現場では閉まっているお店も多く。密集というよりは点在という感じ。
年季の入りまくったお店や、いろんな意味で傾いてそうなお店もあり、高齢化や人手不足の影を感じたりもしました。

とはいえジーンズのメジャーブランドEDWINの旗艦店があるのも日暮里。そこは繊維街の面目躍如といったところでしょうか。

どのお店の軒先にも生地が並べられており、とてもカラフルです。触れてみるとツヤツヤしていたり、個性的なひっかかりを感じたり。
フワッフワだな〜と思ったらキツネの毛皮だった、ということもありました。しかも頭付き。本物の毛皮を見るの久しぶり。今どきアリなんでしたっけ。

店内はもとより、店先のワゴンも撮影NGのお店が多く。なかなか写真が撮れなかったのが残念。

私が探している編み物グッズは、歩けども歩けども、ぜんぜん見つからない。そろそろ足痛い。このあたりで「もしかして、編み物グッズはないのでは?」と疑いはじめました。遅っ。

嘘!あった!

と思ったら、絨毯のようなウール生地のお店でした。

基本的には老舗の趣が漂うお店が多いのですが、若いセンスのお店もチラホラ。

こちらはあえて昭和レトロな外観を残しつつ、リノベーションしたお店。木とガラスの引き戸が、ガラッと開けて入りたくなります。ガラッとね。

店長「いいキャッチコピーできた!」
店員「鬼のように切れる、って意味分かんなくないですか?鬼って、切られる側ですよね?」
店長「じゃぁ、鬼の切れ味って補足しておくか」
店員「この鬼たちが持ってるの、棍棒ですよね」
店長「もういいや。試してもらおう」
そんなやりとりが想像できる看板。そもそも糸を切るのに、それほどの切れ味が必要なのか。ごめんなさい。愚問でした。

結局。汗ばむまで歩き回って、編み物グッズを扱っているお店はここしか見つからず。

「ノーション館」って何でしょう。
ノーションはNotion。日本語にすると、概念とか思いつきとか。同時に、裁縫道具という意味もあります。

日暮里は布の街。布だけ緑というところに、意気を感じます。
なるほど。答えはメインストリートの中盤に、デカデカと書いてありました。こりゃ編み物グッズ見つかるわけないわ。もう膝小僧が泣き出しそう。

とはいえ、「競輪選手と営業マンは足で稼ぐもの」という間違った社員教育が骨の髄まで染み込んでいる私は、手ぶらで帰るのがシャク。
そこでChatGPTにすがってみたところ
「浅草橋(アクセサリー材料・手芸用品)。アクセサリー用金具や手芸パーツの卸店が多い。ハンドメイドの聖地として発展してきました」
との返答が。

幸い電車で15分のご近所ということもあり、少し足を伸ばしてみました浅草橋。

この浅草橋。かつて顧客の会社があったので、一時期は毎週のように通っていました。手芸店なんてあったっけ、とは思っていたのですが。

ありました。店内は外国からの観光客、とりわけカップルや家族が多く。みなさんの情報感度の高さに驚かされます。

ただしこちらもビーズやリボンが主。編み物グッズはナシ。

Google MAPを頼りに、さらにほっつき歩いてみるものの。

やはりビーズなどデコアイテムのお店ばかり。アスファルトの衝撃が腰にこだましてきました。

「Stitch Leaf」というお店を発見!直訳すると、縫い目の葉っぱ!意味わかんない!でもここは脈アリかも!

ルーズリーフの専門店でした。ルーズリーフの専門店って何?それはそれで興味がわくけど。
肩を落としすぎて、肩凝ってきた。

浅草橋も不毛地帯かと、諦めていたところ。
地図に謎のお店が。現地に到着したのに入口がない。キョロキョロしてもお店が見つからない。

やっと見つかったお店がここ。

ITORICOさん。素敵!こういうお店を探してた!
そりゃ見つからないわ。小さな事務所ビルの3階なんだもん。足を引き摺って階段上がった甲斐があったってもんです。

世界中の工場で生産途中に余ってしまった糸や廃棄されてしまう糸、技術的に高いマニアックな糸を売っているお店。おしゃれでセンスがいい。いい匂いするし。若い年代の人を中心に、客足が途絶えませんでした。みんな、どうやってこういうお店を知るんだろう。

確変の予感です。運をベットし続けた一日。いよいよツキが巡ってきたのかもしれません。
私は鉄球でも引きずってんのかというくらい重くなった足で、最後のお店に向かいました。
カンダ手芸。浅草橋でもっとも大きな手芸店らしい。近所にはステッチ館という別館もあり盤石。ハンドメイドの聖地たる由縁を見せてくれるに違いありません。

聖地感がホンモノすぎる。激渋。立ち尽くすしかない。スマホで調べると、創業は昭和6年。聖地巡礼というよりも、詣とかお参りの貫禄。

そんでこちらが「ステッチ館」。館と名づけた勇気に敬礼。

さっきまでの陽気はなりをひそめ、神田川からの風が冬に戻りました。そろそろ帰って晩飯を作る時間です。
そのまま馬喰横山まで15分ほど歩き、電車に乗って帰路につきましたとさ。そういえば、馬喰横山も布地問屋の街でした。

今回歩いたのは日暮里、浅草橋。馬喰横山も少々。
日暮里の繊維街は、大正に浅草界隈の古繊維、栽落業者が移り住んだ街。
浅草橋は、江戸時代から人形問屋街としての歴史あり。
馬喰横山は日本最大級の繊維問屋街。幕府が始まる前からあるそうです。

でも、これだけ繊維関連の街が集まっているのに、どうして「編み物」ジャンルが手薄なんですかね。
編み物の歴史って意外と浅いからなのか。街になるほど道具の種類が多くないのか。

逆に考えれば、隠れた名店を探しに出かける楽しみがある、ということなのかもしれません。お買い物も編み物の醍醐味の一つですから。なんなら買い物先行の時すらある。
出かけるといえば、ヤーンボミングもありますね。
編み物は、意外とレジャー的に楽しめる可能性も秘めているような気がしました。

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