【全25本】ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンだったアレコレ2025年8月

2025年8月に私が出会った、DEIに関係するニュース、映画、本、イベントなどについて日付ごとにまとめています。
草冠結太 2025.09.01
誰でも

8月1日(金)「坂上香監督の新作ドキュメンタリー『コール&レスポンス』完成までの支援プロジェクト」

MOTION GALLERYでグラファン開始。少年院におけるラップを活用したワークショップのドキュメンタリーの制作を、支援するプロジェクト。来年の公開が、私は楽しみでしょうがない。だからかならず支援しようと思ってる。今プロジェクトサイトをみたら、いろいろなメニューがあった。どれも魅力的で悩んでしまう。映画はもう始まってる。そんな気持ちになってきた。

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8月3日(日)NHK「Dearにっぽん ここからだって、やれる 〜秋田 シニアeスポーツチーム〜」

秋田市で活動する高齢者たちのeスポーツチーム「マタギスナイパーズ」の紹介。このチームのことは以前から知ってた。正直、ここまでストイックかつシビアに取り組んでいるとは思わなかった。あそこまでいくともう年齢関係ない。そしてそれがeスポーツの魅力。それに加えて、選手たちがよかった。人生のベテランとして豊かな経験をもったまま、初心者として謙虚にトレーニングする。それって人として最強形態なんじゃなかろうか。いつまでもフレッシュにいられる、理想の第二の人生な気がする。

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8月4日(月)Session「障害のある人に効果的に情報を伝えるには〜『災害と音』の最新情報」

やはりスマホをはじめとした情報技術は進歩してるんだね。情報だけでなく、その先の具体的な避難行動にどうつなげていくか。またその避難行動からどう障害を取り除くのか。その点において、最終的には自治体との連携などアナログなことがとても重要になってくる。もちろん社会的な理解が進むことも不可欠。技術が進歩すればするほど、それを痛感する。結局、人を助けるのは人だから。

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8月5日(火)パラサポWEB「外国人選手12名の野球チーム、北海道・旭川ビースターズ。多様性のあるチームと地域の暖かいつながり」

とても希望を感じる記事だった。中東や南アジアで野球が盛んになってるとはきいたことがあったけれど、旭川のチームが日本国内での先行事例をつくってるのは初めて知った。正直「昭和の体育会系」的な思考回路が苦手。勝った・負けた、使える・使えないの排他的な二元論で考えがちだから。でもこのチームは地域とのつながりや、野球以外のことにも視野を広げていて、とても素敵だと思った。スポーツってこういうものであってほしい。

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8月6日(水)ePARA「視覚障害者と共に創る“音の世界”のeスポーツ「音戦宅球eSports」リリース」

この記事、最高。誰でも音だけで簡単に楽しめるバリアフリーゲーム。その進化版には多くの視覚障害当事者が参加しているとのこと。技術だけでない“人の力”によるアクセシビリティ。これはAIなんかでは実現できないこと。こういう新時代の音ゲー、もっと出てくるといいな。とか言いながらこのゲーム、iPhone限定かい。あー残念。。。

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8月7日(木)シブヤ経済新聞「渋谷区役所にデフリンピック「応援アート」 地元中学生ら制作」

こういう盛り上げ施策が徐々に増えてきた。開催100日前イベントだったり、PRキャラバンカーだったり。デフリンピックのいいところは、どこか手作り感があるところ。お金をかけない大会って、こういうことなんだよな。試合観戦もすべて無料らしいし。地味に見えて、とても挑戦的なことをやっているのだと思う。

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8月10日(土)スウィング所属アーティストの作品

先日、京都の福祉施設「スウィング」から、所属アーティストであるアッキーさんの絵を購入した。そしたらこんなギフトが届いた。サコッシュと、ポストカードと、メッセージカード。封筒からして手抜きがない。私はこの詩が大好き。腹抱えて笑ったわ。サコッシュは娘と使おう。

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8月12日(火)カンパラプレス「スポーツは平和の証 長崎出身のパラリンピアン・副島正純選手、被爆80年の地で語る」

パラリンピックは傷痍軍人のリハビリにルーツがある。今だって海外パラ選手には、戦争や紛争で障害を負った選手がたくさんいる。スポーツは平和じゃなきゃできない。そのとおり。とりわけパラスポーツを考えることは、平和を考えることでもある。だから私はパラスポーツに一目置いているんだ。

8月12日(火)日興アセットマネジメント新CM「変わるんじゃない。動くんだ。」

車いすラグビーの選手を起用したCM。けっこう以前から流れてたみたいだけど、私はさっき初めて観た。熱くて渋くて好きなCMだった。車いすテニスの選手はCMでよく見かけたけど、車いすラグビー選手はあまり観てこなかったかも。社名変更という一大ニュースにパラアスリートが起用されるなんてカッコイイ。日興アセットマネジメント、いや、アモーヴァ・アセットマネジメント、さすが。

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8月13日(水)カンパラプレス「「私、野球がやりたいです」敗れた球児たちの新しい夏──甲子園に挑戦する青鳥特別支援学校が目指すもの」

あかん。こんな記事、どうしたって涙でちゃうってば。球児たちと監督・コーチが眩しすぎる。2023年、全国で初めて特別支援学校の加盟が認められた。その学校について。この野球部、大好き。試合見に行きたい。知的障害のある子は、人生経験を積む機会が限られている。親御さんの言葉が胸を打つ。たしかに。パラリンピックだって、知的障害選手が出れる競技は3つだけだし。障害によるスポーツ機会の損失は、とくに教育の場では、早急に解決されなくてはいけないと思う。

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8月14日(木)キコニワ「デフリンピックを、もっと身近に。 ━━ろう者として、応援アンバサダーとして、伝えたいこと」

「デフリンピック開催中はどのような活動をされる予定ですか?」「実は、まだ詳細はわかっていないんです(笑)」開催100日前でこのユルい感じ、いい!とても素敵な記事だった。そして「聞こえないからこそ気づけること、楽しいこともたくさんある」というところが、とても気になった。とくに、楽しいこと、のところ。具体的にどういうことなんだろう。聴者である私では、想像がおいつかない何か。いまChatGPTにきいたけど、的を得た答えは得られなかったよ。それを目撃しにデフリンピックを観戦しにいきたい。

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8月15日(金)朝日新聞「「日本人ファースト」で傷つかないように 教員らが声明、署名も開始」

いま署名した。娘の小学校にも外国籍の同級生がたくさんいる。だから実は選挙中から、日本人ファーストと言い出す子どもたちが増えていたのを知っていた。子どもが悪いんじゃない。それを流行らせた大人が悪い。だから、それにNO!を表明するのもまた大人の責任。日本人ファーストを叫んでた大人たちは、子どもたちを虐げていることに無自覚だったんだろうか。無自覚だったなら罪。確信犯ならなお罪。子どもを虐げる大人の言うことなんて、信じられるわけないだろ。

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8月18日(月)NEWSjp「「性的少数者は病気じゃない」シンガポール 禁止条項撤廃を経て理解深める定例イベント」

驚いた。シンガポールってアジアのビジネスハブとしてあれだけ国際的なのに、意外と保守的な国だったのね。男性同士の性的行為を禁止する法律があったというのも驚きだし、それが2022年まで存在してたというのも驚き。いや。SOGIに関する理解なんて、世界レベルで見たらそんなものなのかもしれない。日本だってよその国のこと言えないか。「少しずつだけど社会に変化」とのこと。でもそれじゃ遅せーんだよなー、というのはある。

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8月19日(火)カンパラプレス「パラ水泳日本代表、シンガポールでの世界選手権へ向け公開合宿 世界ランク1位の川渕大耀「パリでの悔しさを晴らしにいきたい」」

一見なんてことないスポーツの公開合宿の記事。でもね。パラ競技の公開合宿が記事になる日が来るなんて、数年前までは想像できなかった。こうやって一つひとつメジャーになっていくんだろうな。そりゃメジャーになることが目的ではないけどさ。こういう記事を読んで「自分も!」って思える若者や子どもが増えるためには、かっこよく目立つことはとても大事だから。パラ水泳は身体の障害性がむき出しになる競技。初めて見る人の中には、ギョッとしてしまう人もいるかもしれない。だからこそ、そんな人たちを驚かせ、魅了してほしい。選手たちの活躍を祈ってる。

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8月20日(水)日本点字図書館

東京の高田馬場にある日本点字図書館に行ってきた。見学には予約が必要だった。不覚!しかし入口で施設を紹介してくださった職員の方のお話だけでも勉強になった。視覚障害者のための本というのは点字だけではなく、音声もある。また日本全国で利用できるので、ほとんどの人は来館せずに郵送などで借りたり返したりする。データのやりとりもある。さらに図書の貸し出しだけではなく、白杖や腕時計などの販売もするし、用具・器具の相談にものっている、とのこと。実際、この図書館に近づくにつれて、歩道に白杖ユーザーが増えていくのが印象的だった。今度は必ず予約していこう。ちゃんと調べていけよ、俺。

日本点字図書館のエントランスにある看板。木の板に大きな穴があいており、その下に日本点字図書館と銘記されている。

日本点字図書館のエントランスにある看板。木の板に大きな穴があいており、その下に日本点字図書館と銘記されている。

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8月21日(木)女子SPA!「女性になりすます男性、夜の街…私たちが安心して恋愛を始められない理由。1200人の当事者が集まったイベントで抱いた“解放感”とは」

レズビアン・セクシュアルマイノリティ女性のためのマッチングアプリが主催したイベントのレポート。その内容が素晴らしいものだった。セクシュアルマイノリティの方にとって出会いを得ることが困難を伴うことは、想像に難くない。ともに生きていくならなおさら。だからこそイベントに1200人も集まったのだろうけれど、そのために会場の心理的安全性を確保する努力は、並大抵のものではなかったはず。そのぶん来場者が得るものは大きかったのでは。あと。マッチングアプリを悪用する奴らがいて、安心してアプリを使えない、という話には憤怒した。あきらかに詐欺・詐称・営業妨害という犯罪行為だろ。

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8月22日(金)日テレNEWS「日本人初のダガー賞 作家・王谷晶さんがレズビアンとして抱える不安 若者に伝えたい“すき間あるよ”」

「最後までリングに立ってたヤツが勝つと思う。生き延びたもん勝ちなので。カウント取られても、しがみついてでもリングに上がっているといいよ」やっば。かっこええ。彼女はしゃべりも素敵な方。そしてレズビアンを公表しながら作家活動をしている危惧も語っていた。そこにばかりフォーカスされるのもどうかと思うが、でも大切なアドボカシーだとも思え。彼女に興味が湧いてきた。本、読んでみようかな。すごく評判いいしね。

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8月24日(日)新宿「どん浴」

新宿の三丁目と二丁目の間にあるお店。レズビアンのスタッフさんが運営。売りは足湯とローストビーフ。ローストビーフはクラクラするくらい美味。ホントに美味いから。客は選ばない。私のようなシスヘテロの男性でもOK。1400から開店。定休日は火曜日。映画の話もできた。少し社会について考える時間になった。このお店は貴重。次は娘を連れてこよう。絶対来よう。

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8月25日(月)ハフポスト「彼が遺した「黄色い一枚の絵」、家族や友人の“希望”を未来につなぐために【一橋大アウティング事件から10年①】」

あの事件からもう10年か。ニュースで報道を目にした時、とても強いショックと憤りを覚えたのを、今でも覚えている。どうして無関係な自分がこんなに怒りを覚えるのか。それに戸惑ったことも。それがどうしてだったのか今だに分からないけれど、一つ言えるのは、今でも同じようなニュースを見るたびに、怒りは込み上げてくるということだ。この特集は、怒りだけでなく、行動に打ちした人たちの物語。全部読もう。

8月25日(月)ハフポスト「「学生の父親です」遺された家族と私をつないでくれた2回のシンポジウム【一橋大アウティング事件から10年②】」

「非常に過酷な環境下では、相手に対する配慮や思いやりを持つことが難しい」。環境は免罪符ではない。とはいえその影響力は無視できない。事件はロースクールで起きた。10年前のセクシャルマイノリティに対する社会理解の低さもあったのだろうけど、法律や人権を学ぶ人たちの間で起きたということを忘れてはならない。これ実は社会人にも同じことがいえるんだと思う。人間性を犠牲にしながら働いている。働かされている。環境が人を狂わせ、狂気は誰かの死まで止まらない。そういえば、高橋まつりさんの事件も今年で10年だ。私たちは”狂ってない状態”でいる時間の方が短いんじゃないか。そう怖くなることさえある。少なくとも私は、自分がそういう際どいところにいる、ということを自覚していようと思う。

8月25日(月)映画「十一人の賊軍」

想像を遥かに超えてくる映画だった。複雑で大人の作品。なのに大感動、大興奮。これは傑作にして名作。山田孝之さんと仲野太賀さんが、最高のさらに上をいく。本山力さん演じる爺っつぁんも絶対に必見。阿部サダヲやばい。そしてとりわけ素晴らしかったのが、主人公である政の妻・さだを演じる長井恵里さん。ろう者の役。あれ?この方の演技はちょっと桁外れにいいぞ?凄すぎるぞ?と思ったら、実際にろう者の方だった。この方なしには「十一人の賊軍」は成立しない。さだは物語の冒頭と最後に出てくるのだけれど、ここに意味がある。銃音と爆撃音の戦を起こす者と、無音の中で愛する人の帰りを待つ者。このコントラストが、戦の虚無を描いている。長井恵里さん。『ケイコ目を澄ませて』や『デフ・ヴォイス法廷の手話通訳士』にもご出演されてるみたい。これから目が離せないわ。

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8月26日(火)朝日新聞「同性カップルの住民票で「夫・妻(未届)」表記 品川区が10月から」

これは国がやるべきことでは?と思ったら、案の定「昨年末、都内10区長で政府に要望していたが、進展がないことから独自に導入することにした」とのことだった。これと同時に、区は災害時に遺族らへ支給する災害弔慰金について、同性パートナーにも支給できるようにしたらしい。区長いわく「ジェンダーによって生きづらさを感じる人がいる社会を変えるために、一石を投じたい。導入自治体が少しずつ増えていくといい」とのこと。まさにその通り。とはいえ、全国の自治体数は約1,700以上。細かいことを一つひとつ変えていくのは、地道すぎる。この間にも奪われている人権について、政府は目を向けるべき。性的少数者の割合が8〜10%とする調査も複数ある。それだけの割合の人が婚姻による幸福追求を妨げられている状態は、どう考えてもおかしいぞ。

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8月27日(水)FNNプライムオンライン「「ホームタウン構想」巡り大きな波紋…各地で困惑の声 ナイジェリア政府が特別ビザ発給を発表 木更津市長は移民受け入れについて否定」

えらい騒ぎになってるな。どうせガセだろうと思ったら、アフリカ各国メディアでの報道が元になっていると。だとすると騒ぐ根拠がないわけじゃない。けどそうはいってもだよ。現実的にそんなことが起こるわけないだろ、って思わないのかな。脊髄反射的に拒否反応を示す人が増えているように感じるけど、実際どうなんだろうか。とはいえこれ、国と国の認識の違いによる可能性もあるわけで。このホームタウン構想に水を差さないといいけど。

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8月28日(木)パラサポWEB「パリから1年! 車いすテニス&柔道&水泳“同学年メダリストトリオ”のハイテンションわちゃわちゃトーク」

笑ったわ。「パリの1年前に左足を骨折し、「意地で2ヵ月で治しました」と小川」」そんな馬鹿な(笑)。でもね。パラアスリートには、底抜けに明るい人も多い。あえて表に出さなくても、強靭なポジティブさを秘めている人は多い。そこに惹かれるんだよな。タフネスを感じる。この記事もそうだった。8月は関東でのパラスポーツ大会が少なかったから、9月は観に行きたいな。

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8月29日(金)こここ「働くろう者を訪ねて 佐藤りょうさん【手話ラウンジ経営者】」

このラウンジ、とても素敵。まず店名が「きみのて」、センスある。この記事は大阪のお店だけど、東京にも同じ店名の手話ラウンジがあるのだね。「このお店のドアを開けたらあちこち手話でにぎやかで、それがとても嬉しくて、ホッとすることができた。夜、手話ができる場所があるのはとても嬉しい。大事な場所。手話の大切さを実感した」そんなお客さんがいるこのお店は、本当に尊い場所なんだと思う。それもこれも、佐藤さんのタフな経営スピリットというか志に支えられている。今これを会社で読んでる。気合が入った。

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